『圧縮』
2010/12/13
圧縮することは人の思考する世界においてはとても重要な機能です。
様々な概念の束を一言で処理できてしまうので、
複雑な思考をする際には欠かすことの出来ない機能です。
「今夜はカレーだ!」と思い立ったら、材料の買出しに出かけます。
じゃがいも、玉ねぎ、人参、お肉、…きのこも入れよう、カレールーを忘れずに。
これ等の具体的な材料は、「カレーの材料」という名前の概念にしまってあったものです。
慣れた人なら「カレーの材料」という言葉を頭にメモしてスーパーに行けば済みます。
お父さんに頼もうと思ったらいちいち何グラムとか何個とか紙に書いたメモが必要かも知れません。
…ちょっと砕けすぎた喩えでしたでしょうか?でもこんなところです。
個々人により分野の得て不得手がありますから、
どのような概念をどんな風に圧縮しているかは違いがあるでしょう。
この圧縮の仕方の違いによって、
会話をするときに意図が正しく伝わらないこともありますから注意が必要です。
「カレーの材料」もポークなのかビーフなのか、チキンなのかシーフードか、
固まり肉ではなく、スライスや、ひき肉を普通に考える人もあります。
そしてそれぞれが「カレーの材料」というラベルを貼ってあるのです。
昔の電気製品は構造が単純で修理するのも器用な人なら自分でこなせました。
単純な部品だけを用いてシンプルな構造を組み上げれば、
素人でもよく理解できるものになりますが、
それだけでは機能面で物足りないと感じる人もあります。 最近の電気製品は、複雑で様々な機能を持っていますが、 ひとたび壊れるとICチップあるいは基板など丸ごと交換しなければならないことが多い様です。 このICチップ一つの構造がかなり複雑なものなのでしょうが、 このチップを交換するという作業一つで修理は終了です。 逆に部品さえあれば誰でもできそうです。 このICチップは圧縮された概念に似ています。 とても複雑な機能を持っているのですが取り扱われるときには小さなチップですので、 簡単に取り扱うことが出来るのです。 名前だって数桁の数字とアルファベットです。 ただし、数字が一つ違うと機能しません。 正確に選ぶ必要があります。 圧縮された言葉も同様で、憶え間違うと大きな違いになってしまうことがあります。
ICチップの中身について、一般的には知らない人が殆どです。
分解してみようと思う人も少ないでしょう。
圧縮された言葉も同様で、一度圧縮するとその中身について検証してみることは少ないです。
ここに「思い込み」の一因があります。
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