『良心論(その哲学的試み)』

石川文康 著 名古屋大学出版会社

2010/10/30

   この本は、「良心(conscience-英,Gewissen-独,conscientia-ラテン)」の由来は 「共に知る」であると解説することから始まります。では一体誰と共に知るのか?
今、私が心の問題を解こうとする姿勢と似た形式を追っているところにも自身をいただきました。 勿論、私の文章のような稚拙なものではありません。B6判265頁の背中の硬い本です。
 さて、誰と共に知るのか?「世間と共に知る」「神と共に知る」「自己自身と共に知る」とこの本では進行してゆきます。 「神と共に知る」ことは、著者自身が専門外であることを理由にその検証を留保しています。 著者が踏み込んで検証して行くのは「自己自身と共に知る」ことです。 一貫して過去の人智の蓄積を元に言語の関連性を辿ってゆきます。 「自己内他者」についてソクラテス、デカルト、カントなどのビッグネームの言葉を引用しながら検証してゆきます。 更に良心の法則性を3つの観点から説き、 心的作用と時間性、 人間の本性として共同体への可能性へと導いてゆく。 おーばは非常に共感いたしました。



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