『はじめての哲学史・強く深く考えるために』

竹田青嗣・西研 編 有斐閣アルマ

2010/7/3

   考えるために、あるいは人と論議するために、ベースとなる言葉を持っていなければならないと思い立ち、取りあえず哲学の知識が必要かと思って入門書を漁りました。最初は図書館で当たってみましたが、区立図書館には哲学書は殆どなく、無い中でも西洋哲学の歴史のアウトラインをようやく見出し、さてここから深めていくためにはどんな本がよろしいかと、書店で捜した一冊です。2006年購入です。現在この本は付箋と書き込みだらけです。しかし、その全てを頭に叩き込めるほど私は優秀ではありませんから、思い当たることがある毎に読み返す一冊です。

 この本では、10名の先生方の共著であり、ギリシャ哲学に始まり現代思想まで時代を追い人物を追って紹介されています。特に近代哲学についての記述が私には読みやすかったです。
 100名からの哲学者・思想家が紹介されているのですから、300ページほどの本では、一人一人の思想の詳細を知ることはできません。でも残念ながら、私はここに紹介されている哲学者、思想家と直接会話をすることはできませんし、彼らが著した本を直接読み解くこともできないのです。翻訳された本を読むことができたとしてもオリジナルから日本語に翻訳されれば、その全てを完全に伝えることはできないし、訳者の考えが多少なりとも入ることは否めません。しかし、こういった入門書を通じて、それぞれの思想家の考えが後年どう捕らえられているのかは汲み取ることができます。彼らの言葉が現代社会にどう生きているかをうかがい知る事ができるのです。  しかし、ここで気をつけなければならないのは、そこに書かれている言葉は、その思想家の言葉ではなくこの本の著者の言葉であるということを忘れてはいけないということです。こちらの先生が解釈した内容とは違った観点からそれぞれの思想を解釈する先生もあるということです。この本は特に偏っていると感じたわけではありませんが、それでも一冊の本によって考えを固めてしまうのは危険なことです。


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